ポリエステルからできた保存用フィルムはガス透過性が少なく、外部からの汚染物質を遮断します。封入口は開いていて、フォルダーは半密封状態となります。完全に密封してしまいますと、紙資料からの生成物質が内部に充満し、却って劣化を促進させる危険性があるので、保存期間中外部との間に、ゆっくりとした空気の交換が行われることが理想的です。内部や外部からの汚染物質は、ガス吸着紙が除去します。
空気中の汚染物質や、紙資料自身の劣化に伴って生成する物質から紙資料を護ることが大切です。 これらの物質を除去しないと、自己触媒作用によって一層劣化が進行してしまいます。そのために前述の物質を吸着し、且つ放出させないガス吸着紙が2枚入っています。ガス吸着紙の陰イオン含有量は他の紙に比べて極めて少なく、冷水抽出pH値も限りなく中性(pH7.0±0.5)に近づけた紙です。ですから、冷水抽出pH値が大きく異なる紙資料と接触使用しても、非常に優しく安全な紙です。また、余程高濃度のガスを吸着させない限り、ガス吸着紙のpH値は中性のまま変わりません。しかし、長期間にわったて劣化が進行していく紙資料からの酸性物質の移行を考慮して、ガス吸着紙の間に中和機能紙(pH9.5)を挿入しました。酸性物質の移行が起ってガス吸着紙が酸性化するのを防ぐため、アルカリ物質の供給タンクとしての役割を果たします。