着物の縮緬(ちりめん)のように細かい皺の入った和紙に多色木版画が印刷された美しい和装本です。
この縮緬本は日本の伝説や童話を扱った絵本として出版され、珍しい日本土産として外国人に大変好まれましたが、明治十年代から三十年代にかけて主要な出版が行われた以外は殆ど刊行の例がありません。製作方法もこれを製作していた長谷川武次郎という版元の工房の外へは伝わらず、一部の古書コレクターの間では長らく幻の明治絵本といわれてきました。
なぜ普通に印刷した紙を縮緬状にしたのか、出版意図・製造方法等なにも資料が無い中、研究と試行錯誤の結果、およその工程を復元するに至りました。
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